ヒーローが行ってしまえば、脇役は帰ってくるのを待つだけだ。

あたしは暑さに弱いから、体力が削りに削られ、さすがにもう立っていられず、思い切り座り込んでしまった。


「凪夏ちゃん、大丈夫?」

「うん。暑くてバテただけ。休めば回復するよ」


あたしは残り僅かとなった梅ジュースを遂に飲み干すと、この状況でも焼きそばを貪る朝登くんを見た。

やはり人間は空腹に勝てないらしい。

腹が減っては戦ができぬとは良く言ったものだと感心する。


「う~ん、旨い旨いっ!やっぱ屋台の焼きそばサイコーっ!このあまっからいソースがなんとも言えないんだよな~。ほら、つるのんも凪夏ちゃんも食べて食べて」

「日葵が迷子になったかもしれないんだよ?なのに呑気に食べてなんかいられないよ」

「腹が減っては戦ができぬって言うだろ?まずは腹ごしらえして体力を回復させて思考を冴え渡らせる。捜すのはそれから。何も捜さないなんて言ってないよ」

「そう...だけど...」

「つるのん大判焼き食べたいって言ってたよな?ほら、これ。おれも食べるから一緒に食べよう」