「お~い、お2人さ~ん!」
十数メートル先で戸塚くんが手をぶんぶん振っている。
その声に導かれるように自然に歩かなければ...。
あたしは彼の右足が先に出るのを待った。
しかし、彼は続けた。
「ごめん。言いすぎた。傷つけたよな...ほんとごめ...」
「あたしは傷つかない。他人を傷つけたくもない。その為には、残念だけどこうやって生きるしかない。あたしこそごめん。こんなあたしで...ごめん」
「雨谷、あのさ...」
「もうこの話は止め。早く行こ。皆待ってる」
あたしは仕方なく右足を出した。
下駄の音が聞こえて来て安心している自分がいる。
あたしが蒔いてしまった種ならば、それは咲かないように踏み潰すしかない。
咲いても見てくれる人に不幸を与えるような花だと分かっているならば咲くのを防ぐしかない。
それが種を蒔いた張本人であるあたしの贖罪だ。
あたしは左手にかかる重みに心が押し潰されそうになる自分に気づかないふりをして、先へ先へと急いだ。
十数メートル先で戸塚くんが手をぶんぶん振っている。
その声に導かれるように自然に歩かなければ...。
あたしは彼の右足が先に出るのを待った。
しかし、彼は続けた。
「ごめん。言いすぎた。傷つけたよな...ほんとごめ...」
「あたしは傷つかない。他人を傷つけたくもない。その為には、残念だけどこうやって生きるしかない。あたしこそごめん。こんなあたしで...ごめん」
「雨谷、あのさ...」
「もうこの話は止め。早く行こ。皆待ってる」
あたしは仕方なく右足を出した。
下駄の音が聞こえて来て安心している自分がいる。
あたしが蒔いてしまった種ならば、それは咲かないように踏み潰すしかない。
咲いても見てくれる人に不幸を与えるような花だと分かっているならば咲くのを防ぐしかない。
それが種を蒔いた張本人であるあたしの贖罪だ。
あたしは左手にかかる重みに心が押し潰されそうになる自分に気づかないふりをして、先へ先へと急いだ。