「雨谷、やるぞ。それと...ほら、日葵も」

「え~?!日葵はもうやらないよ!澪くんも見たでしょ?日葵には才能がないの!やったって取れないんだよ~」


日葵が口を尖らせると、すかさず弓木くんが日葵に100円玉を握らせた。


「欲しいものはちゃんと自分で取りに行かないと後から後悔する。だから、今やるんだ」

「でも...」

「日葵は今まで無理無理言ったって結局最後には奇跡起こしてきた。俺はそういう日葵を知ってる。だから、こんなことで諦めるな。日葵らしくない」

「......分かった。澪くんが教えてくれるなら、やる。ただし、ちゃんと教えてよぉ」

「もちろん」


さすが、ラブ日葵男だ。

何の気なしにその気にさせてしまうなんて。

ま、単に一緒にやりたかっただけなんだろう。

それで募る想いをちょんちょんっと心のキャンパスに垂らすように話してみたら、上手く事が運んだってだけなんだけど。

やっぱりこの2人は見せてくれるよ。

あたしが諦めていた想いも気持ちも奇跡も。

だから、観察していたくなるんだ。

自然と目に入ってしまうんだ。