"なりたい"じゃなくて"なります"。

"交流皆無"なのに"絶交無効"。


意味不明で意味深だと思った。

不思議で面白いって思った。

こういう人と友達になるのも悪くないって感じた。

というか、あたしの意見も心も最初から完全無視なんだけど、

それでも、あたしは彼女と友達になりたい、いや、なろうって思った。

意思の強さの裏の弱さ、脆さを見てみたい。

なんていう、似て非なる2人の心を結ぶ理由を見つけてしまったんだ。

あたしは多分その時、不気味に笑っていたのだと思う。

あたしの口から漏れたのは、


「全力で、"友達"、しましょう」


だった。


日葵は笑った。

あたしの言葉をこんなに素直に返してくれる人に出逢えたのは久しぶりのことで、もう2度とないことだと半ば諦めていた。

でも、日葵は笑った。

笑ってくれた。

だから、あたしも出来る限り応えようという気持ちになれた。


それから、日葵はこんなことも言った。


"日葵って名前で呼ばなかったら、コーラの一気飲みの動画撮って世界中にばらまく"


本気でやりたくなくて、やらされたくもなくて、あたしは日葵を日葵と呼ぶことを選んだ。


「日葵...よろしく」

「うんっ!」


彼女は暗雲さえも蹴散らして晴天をもたらすような満天の笑顔を、真冬の北海道並みに冷めたあたしに向けてくれた。

彼女との"始まりの日"だった。