ため息をつきながらラウンジの出口でぼうぜんと立ち尽くしていると、「ようやく帰ったか」と朝井様が私よりも大きなため息をついた。

 首を伸ばして、彼女が見えないのを確認した彼は顔をしかめる。

「なんだあの女。ちゃんと仕事ができるのか?」

 なんと言うことを。

「もちろんですよ! インテリアコーディネーションコンテストでの数々の賞を受賞されていますし、雑誌でも取り上げられるような有名な方なんですから」

 私は彼女のためにも躍起になって答えた。

「そんな有名人が、どうして急な仕事を引き受けるんだよ。引っ張りだこで空いていないのが普通だろ?」

 朝井様は腕を組んで私を睨む。

「どうなんだ」

「そ、それは」

 なまじイケメンなだけに凄みがある。そんなふうにされると蛇に睨まれたカエルよろしく、背中がゾワゾワして居たたまれない。