ホテルのラウンジで、麗しのインテリアコーディネーターである彼女を紹介しても、朝井様は眉ひとつ動かさない。

 そればかりか、すぐにでも部屋に戻りたそうだ。

「朝井様、コーヒー……」

「いや、俺はいい」

 彼女はコーヒーを頼んだのだ。注文くらいしてもいいだろうに、頑として首を縦に振らない。

 彼女を目にした瞬間からずっと、寸分違わぬいつもの様子に嫌な予感はしたが、まさか彼女に興味がないの?

 一方で、今日の彼女は一段と気合が入っている。

 美しいだけじゃなく、プルップルの唇にチラチラ見え隠れする豊満な胸もとという、男性なら誰しも釘づけになるようなフェロモン全開で来ているのだ。

 いくらクールな彼でも、そうそう無下な態度にはでないはず。

 もしかして照れ隠し?

 なにしろ彼はドSだ。ツンデレというやつかも。

 気を取り直して彼女ににっこりと微笑む。

「ではよろしくお願いします」