「こちらは二階建てレジデンスの二階になります。前の所有者が外国へ転勤になり手放したそうで、築年数もまだ三年という綺麗なお部屋でした。バルコニーもとても広くこの辺りには高い建物がない区域なので日当たりもよく、心置きなく寛げそうでした。ただこちらですと賃貸ではなく購入になります」

 気づけば朝井様は、うなずきながら画面をじっと見ている。先の二件とは明らかに反応が違った。

 よかった。感触は良さそうだ。

「いいね。明るいし、中庭のグリーンが安らげそうだ」

「では、いつ見学に行かれますか?」

 ホッとして手帳を開くと、「いいよ。ここに決めちゃって」とそっけない返事。

 危うくムッとしそうになり、笑顔を貼りつける。

 怒るな私、想定の範囲内よ。

「では、インテリアのイメージを教えていただけますか」

 今度はタブレットを見せた。

 朝井様の希望は落ち着いて、安らぐ空間である。

 ネットで集めた写真を見せた。