ハッとなにかを思いついたように美江ちゃんが、膝を叩く。

「明日私も休みだから付き合うよ!」

「本当? よかったー」

 いずれにしろ、私に断るという選択権はない。

 払ってもらった病院の費用は返すとしても、お客様の要望に応えるのは私の使命だもの。



 美江ちゃんが手伝ってくれると決まり俄然やる気が沸いてきた。

 その勢いのまま再びスイートルームに戻り、朝井様のもとへ行く。条件を具体的に確認しておかないきゃいけない。

 ベルを鳴らすと、朝井様が顔を出した。

「新居の件ですが、早速明日不動産屋に行ってみようと思います」

 朝井様はにんまりと、満足げに微笑む。

「それはよかった。よろしく」

 手帳を取り出していくつか質問をする。

「お部屋の条件ですが、部屋数はどれくらいがよろしいですか?」

 うーんと考えた彼は「まあひとりだしな」と言う。

 なるほどおひとりならば、そこまで広い必要はないだろう。一LDKかとあたりをつけた。

『この部屋くらいのリビングと書斎、寝室のほかは三部屋もあればいいか』