「濁点を付けなければなりませんが……テシガワラの『テシ』とホタルの『タル』で──」

「──『デジタル』!! 凄いぃ~大発見!!」

 この時のワタシは周りからどんなに注目を浴びようとも、気にすることなど有り得なかった。

 まるで宝物を見つけた子供のように、込み上げる興奮を隠せなかった。

 キラキラと輝く瞳を見つけて、アナログさんはもう一つの或ることに気付く。

「……『名は体を表す』とは本当かも知れませんね。貴女は『デジタル』で、僕は『アナログ』──そうでしょう?」

「え? そうかなぁ??」

 ここでやっと缶コーヒーに手を伸ばしたアナログさんは、一口を含み、背もたれに落ち着いた。

「僕は……多少のデジタルな作業はありますが、基本「書籍」という『アナログ』に向き合う仕事ですし、貴女はこれから『デジタル』な時代を生きる、未来ある女性なのですから」

「でも……デジタルとは限らないんじゃない? ワタシだってせいぜいスマホが使えるくらいだし……もしかしたら意外に伝統工芸の職人なんかになってるかもよ!?」

 ワタシも背筋を伸ばし、両腕を頭の後ろに回して、背もたれに全体重をのしかけた。