テーブルに手際よく並べられていく。高級感ただよう食器に、絶対壊さないようにしようと密かに誓う。



律さんが紅茶を注いでくれる。聞こえていたであろう会話に対し答える気はないのか、完全にスルーでいく姿勢だ。


……手強いな。



「ささ、冷めないうちに飲んでください。最近駅前にできた紅茶店で買ってきた茶葉でして、月の灯で発酵させた珍しいものなんですよ」

「ではいただきます」


見た目はふつうの紅茶と変わらない。


しかし、口の中に広がる幻想的な茶葉の魅せる美しくやわらかな味に、結局三杯もおかわりしてしまった。


「お気に召していただけて何よりですわ」

「いえいえ――でも美味しい紅茶なんかで騙されませんからね! どうしてここに呼んだのか、はっきり説明してください」

「それは残念」




その緩い表情から、本気でそう思っているようにはとうてい見えない。