王宮の中で、兄だけが味方だった。

 だけど、その兄の存在が、いつからかエリオットを苦しめるようになったのだ。

 兄と同じようにできない自分が嫌だった。

 どうにもできないことがわかってくると、今度は兄のせいだと思うようになった。

 少しくらい、不得手なことがあれば、エリオットはそれを頑張ろうと思えたのに。

 残念ながら、アルフォンスは超人とも思える努力の人で、なんでもかんでも地道にコツコツ解決してしまったのである。

 おかげで、学校に入学する十三歳になった時には、エリオットはすっかりやさぐれていた。

 兄が通った学校ではなく王立ミグラテール学院に入学したのは、少しでも離れたかったからだ。

 兄と離れて、自分という人を見てもらいたかった。