彼女こそがミリーレデルのフクロウ百貨店の店主、シュエット・ミリーレデル。

 まだ二十歳だというのに、若さが足りない。まるで人妻のような慎み深さである。

 もっと胸元の開いたドレスにしなさいと彼女の妹たちが何度も注意したけれど、「そんなはしたないことは出来ない」と一刀両断するばかり。

 せめてそのきっちり結った髪を少しルーズにしてみたらとアドバイスしても、「だってこうしないと、フクロウたちに啄まれてしまうのだもの」である。

 おかげで、学生時代についたあだ名は女家庭教師(ガヴァネス)。同級生に「せんせい」なんて呼ばれていた。