残念なことに、シュエットは魔力保有量がゼロという珍しい体質だった。

 体内で作った魔力を体内に留めておくことができず、放出してしまうのである。

 これは、致命的だった。

 魔力保有量が多ければ多いほど成功しやすい傾向にあるこの国で、シュエットの体質は足枷でしかない。どんなに勉強が出来ても、魔力がなければ実行出来ないのだから。

 シュエットはがっかりした。

 けれど幸いなことに、家業に魔力は全く関係がない。可愛らしいモフモフに囲まれた生活も悪くないじゃないと、シュエットは家業を引き継ぐことにしたのである。