いつもの定位置に置かれた、窓際のスツール。
わたしはそこに、腰を下ろした。
三澄くんはなにかを考えるそぶりを見せながら、キャンバスのそばに座る。
わたしと三澄くんの間にできる、1.5メートルくらいの距離。
……わたしと三澄くんの、いつもの距離。
「……じゃあ、上村さんが、教えてよ」
「——え?」
「恋愛、ってやつ」
聞こえたとんでもないセリフに、わたしは唖然とした。
三澄くんの目が真剣そのものだったので、まんまとときめいてしまう。
……いやいや。
聞き間違い、じゃないよね……?
それって、た……試しに俺と付き合って、みたいな?
なんだか、少女漫画で見たことのあるようなセリフが——。
「失恋中の上村さんなら、……ずばり、俺が仮に告白したら、どうやってフるの」
「……」
続けて聞こえた言葉に、わたしは、がっくりとした。