隠されたキャンバスから無理やり意識を引き剥がし、わたしは、机に荷物を置いた。
ふわり、と香る、柔軟剤の柔らかな匂い。
三澄くんが隣にやってきて、わたしを覗き込んだ。
「迷惑かけて、ごめん」
なにを? と尋ねるまでもなく。
先生の『絡まれてた』という言葉を、気にしているのだとわかった。
「気にしないでよ。……ちょっと勘違いされちゃって、びっくりしただけ」
わたしはえへ、と笑ってみせる。
じっとこちらを見つめる三澄くんは、まるで、わたしの笑顔の内側を、見透かそうとしているようだった。
「……隠さなくてもいいって、俺、前に言ったよね」
わたしの頭に、そっと手が伸びてきて。
ぽん、ぽん、となだめるように、励ますように、撫でられる。