「それより、進捗どう? ちょっと見せて」

「嫌です」


わたしたちがくる前から、立てられていたイーゼル。

そこにセットされた、布で覆われたキャンバスを確認しようとした先生を、三澄くんがばっさりと断った。

先生と生徒のやりとりには到底思えず、わたしはつい吹き出してしまった。


……よかった。

いつも通りの三澄くんに、戻ったみたい。

よっぽど他の人に、練習のことを知られたくないんだ。


わたしはこっそり納得して、胸を撫で下ろした。


「なんで」

「嫌なものは嫌なんで」

「……どう思う? 上村さん」


先生から助けを求めるような視線を向けられて、わたしは困ったように首を傾げる。


「どうって……。わたしも、見せてもらえてないので」


わたしの言葉に、先生が、え、と小さな声をこぼした。