いつも通りの、三澄くんのクールな表情。


けれど今日ばかりは、その姿に、存在しないはずの垂れ下がった耳や尻尾が、見える気がして……。

まるで、叱られて凹む猫みたいだ。


ど、どうしちゃったんだろ。

……落ち込んでる?
それとも、反省してる?


はじめて見る三澄くんの雰囲気に、わたしのほうが焦ってしまう。

けれど、——あ、と。
すぐに、ひとつ思い当たる節を見つけて、


「練習のことは、言ってないから安心して。先生が上手く誤魔化してくれたの」


わたしは急いでつけ足した。


「そーそー。ここ、掃除中ってことにしておいたから。上村さんには俺を手伝ってもらってるってことで、よろしく」

「……どーも」


先生の補足に、三澄くんが素っ気なく返事をする。