どれくらい時間が経ったのか。
しばらく、わたしの嗚咽だけが響く空間が続いていたけれど。


ふいに、頭になにかが触れた気がした。

心臓がぴくりと跳ねて、その正体を確かめる。

壊れ物を撫でるような、どこかぎこちない感触。
それが、カーテン越しに触れている、三澄くんの手のひらなのだと気がついて——。


「……っ、三澄くん……?」


驚いて小さく声を上げる。

すると、隔てていた布をあっけなく超えて、三澄くんが向こう側からひょこりと顔を出した。


「ちょ……っ」


慌てて、顔を腕で覆い隠した。

カーテンがわたしの手から逃れ、はらりと元の位置に戻る。