「ヘンなの」


自分たちの姿を客観的に想像して、わたしはそう呟いた。


……美術準備室で、なにをしてるんだろ。

知り合ってばかりなのに、ふたりきりで。
ひとりは、カーテンにくるまって。

ヘンなの。
おかしいよ。


おかしくて仕方なくて、……我慢ができずに、涙が出た。

スカートの上に、小さなシミがひとつ出来上がる。

それを追うように、ぽたり、ぽたりと、涙が続いた。


一度溢れると、不思議なことに、制御ができなくなってしまった。


昨日、途中で泣くのをやめてしまった分。

朝、泣いている場合じゃないと引っ込めた分。

……さっき、ふたりの前で堪えた分。


下を向いて、とめどなく落ちてゆく涙を見送りながら、しゃくりあげる。

恥ずかしいなんていう気持ちはどこへ行ってしまったのか、三澄くんが隣にいるというのに、わたしは子供のように泣きじゃくった。