カーテンを閉められたのだと気がついたときには、三澄くんがその裾を引っ張っていて。
ふわりとした布の感触が、わたしを背中から優しく包み込んだ。


戸惑って顔を上げれば、先ほどよりも近くで、三澄くんがわたしを見下ろしている。


「……こうすれば、見えないけど」


囁くように落とされた、優しげな声とともに。
三澄くんとわたしを、……淡いグリーンが、ゆっくりと遮った。

細く長い指先がわたしの手に触れて、そのままカーテンの裾を、そっと預けて。


「昨日みたいに、邪魔しないから。気が済むまでどーぞ」



カーテンにくるまる形になったわたしを残して、三澄くんの気配が離れていく。


……邪魔、なんて。
そんな風に思ってたんだ。


屋上でハンカチを差し出してくれた時と同じように。
三澄くんの優しさに触れて、わたしはこっそりと頬を緩めた。


人を脅すような、ちょっとひねくれたひとだと思ったけれど……。

やっぱり、優しいのも、間違いじゃなかった。