――なんで……。

……もう描けないって、言ったのに。

いつの間に、完成させてたの?



吸い込んだ空気が、喉のあたりで詰まって、うまく吐き出せない。


苦しい。
……苦しい。

こころが、痛い。

これは、……失恋の痛み?

ううん。
違うのかもしれない。

もしかしたら、これは……。

好きだという気持ちが、自分では制御できないくらいに大きくなってしまったときの、痛みなのかもしれない。


「……みすみくん……」


胸を突き上げる想いを吐き出すように呟いて、わたしは、キャンバスをぎゅっと抱きしめた。



——なんでだろう。


痛いのも苦しいのも、もう嫌なのに。

この感覚を愛おしいと思ってしまうのは、どうしてなんだろう。