困惑したように可奈ちゃんの視線が揺れて、そして——なにかに気がついたように、もう一度わたしを見た。
「もしかして、みくる……。見てた?」
「……」
「綾人の誕生日に、わたしが、その、……」
「……、う、うん」
ごめん、と弱々しく絞り出す。
「わざとじゃ、ないんだよ。ほんと、偶然……」
だけど。
覗き見してたなんて、最低だよね。
あの日の放課後。
やっと綾人に気持ちを伝えようと決心できて。
プレゼントを持って、綾人のクラスに向かおうとしたところで、廊下を歩くふたりを見つけて。
せっかく覚悟を決めたのに、綾人を見失っちゃったらだめだと思って。
わたしは、こっそり後をつけた。
……まさか、可奈ちゃんがわたしと同じ気持ちを抱えてたなんて、知らずに。