「残念なことに、驚くほどなんにもないよ」

「ええ？　いいことじゃない？」

「そうかな」

「そうだよ。だって、悩みもないくらい、綾人とラブラブってことでしょ」

「——へ？」

「ん？」


時が、一瞬止まったみたいに。

お互いに、顔を見合わせる。


……わたし、なにかヘンなこと言っちゃった？


固まる可奈ちゃんに、だんだん不安になってくる。


だって、……ふたりが付き合うことになってから、もう随分時間も経ったから。

そろそろ誰かしらが知ってる情報だと思ったんだけど……。

もしかして、……隠してたのかな？

どうして知ってるの、っていう、驚き？