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最終下校時刻になる頃には、外はどしゃぶりになっていた。
先生に見送られる形で美術準備室を後にし、もうすっかり薄暗い廊下を、三澄くんと歩く。
幸いなことに、鞄の中をまさぐると、隅っこに折り畳み傘を見つけ、わたしはホッと息をついた。
……よかった。
ずぶ濡れにならずに済む。
「三澄くんは、傘、持ってる?」
「あるよ」
「さすが」
昇降口は、地面を叩く雨の音で賑やかだった。
暗い空から落ちてくる大きな雨粒を、入り口の蛍光灯が、白く照らしている。
これだけ降っていれば、家に帰るまでに、靴下はびしょびしょになってしまいそうだ。
すでに心なしか湿っているローファーに足を入れて、わたしはげんなりとした気持ちを抱いた。
他の部活は、活動を早めに切り上げたのか……それとも、わたしのように天気予報を確認することを忘れてしまった人が多いのか。
傘立てに残っている傘は少ない。
三澄くんが、その中からひとつ、ビニール傘を抜き取る。
それを視界の端で捉えながら、わたしは、ピンクの折りたたみ傘のハンドルをぐっ、と伸ばした。