「どんな、って……」
……相変わらず、難しい質問。
この間から、三澄くんの疑問は、予想外のところに着目している。
だって、そんなの、……人によると思う。
どれくらい相手の人を好きだったかにも、よるし。
ポジティブな人か、ネガティブな人かにも、よる。
だけど……。
わたしの場合だったら、でいいのかな。
「……酷い気分、だよ。……元気なんてもの、全部落っことしたみたいに、なにも手につかなくなる」
わたしは思い出すように、できるだけ正直に、言葉を選んだ。
「もう、恋愛なんてしない、って、思っちゃうくらい」
カラン、と、筆の柄がぶつかる音がした。