……なんだ。
……質問に答えて、ってことね……。

紛らわしい。

……ていうか、なんか失礼な言い方だし!


抗議の目を三澄くんに向けると、くす、と笑顔が返ってきた。


「今のは、ジョーダン」

「そうですか……」


まったく、よくない冗談だよ。

傷口をえぐられちゃった気分だ。


なんて文句を心の中で呟くけれど、三澄くんのふわりとした笑顔を見たら、そんなこと、どうでもいい気がしてきてしまう。


……最近、よく笑うな、だとか。

この笑顔を知ってる人、どれくらいいるんだろう、だとか。


そんなことで、頭が埋め尽くされていく。


「でも、……上村さんに教えてほしいのは、ほんと」

「え……」

「どんなこと考えてるのか、知ってたほうが、描きやすいから」


説得力のある、三澄くんの言葉。

けれど、その表情はキャンバスにすっかり隠れてしまって、見えなかった。


「失恋って、……どんな気分?」