「あれー?言わなかった?入学した時に、りっちゃん居るよって」



「言わないよ、多分…。
菜月、それ、こないだの服?」



菜月がお茶の用意をして、トレーに乗せて、パタパタと歩いて来た。



「そうだよ、可愛い?りっちゃん、矢野セン、見て見てーっ♪

啓太が選んでくれたんだよっ♪」



菜月はテーブルにトレーを置くと、くるっと回って見せた。



「…へぇーっ、菜月、良かったね。菜月は本当に啓太好きだよね。

そのくせ、気を引きたいからって、他の男の子にアタックして、いつか痛い目あうぞっ!!」



りっちゃんのデコピンが、菜月のおでこ目掛けて飛んだ。



「だってぇ、啓太が他の女の子と付き合ったりするし、

最初は腹いせだったけど…だんだん落とすのが面白くなっちゃってさ。

でも、大丈夫!!
キスも何もしてないからっ!!」



「…だそうだ、杉原」



『大丈夫』だと言ってピースをしてきた菜月の横で、ニヤッと笑った矢野セン。