バイトを休み、菜月と共に帰り道。



久しぶりに、菜月と家まで一緒に帰れる。



朝、体調悪かったのに気付いてあげられなくてごめん。



本当、駄目だよな、俺って…。



「ごめん、気付いてあげられなくて…。今は大丈夫?」



「薬貰って飲んだら熱は下がって来たし、大丈夫だよ。少しダルイけどね…」



少しぼんやりしている菜月。



まだ辛そうなのに…俺は何もしてあげられない。



「ねぇ、啓太、矢野センの前で怒ってくれた事…勘違いだったけど、嬉しかったよ」



「……うん」



今が想いを伝える最大のチャンスかもしれない。



でも…



菜月はアイツが好きなんだろ?



だったら、胸に秘めてた方が良いかな…なんて思ってしまう。



「啓太…子供の時みたいにさ、手を繋がない?」



駅までの距離、二人で歩いていると菜月がそっと手を繋いできた。



俺は、熱っぽい菜月の手を握り返した。