「とにかく、小松崎は落ち着いたら帰れ!!両親に電話するか?」



「いや、嫌っ!!啓太と帰るっ」



菜月が寝ながら首を振り、我が儘を言う。



菜月はチビの頃から、一旦決めたら頑固だ。



そんなところからも、一旦好きになったら落とすまでは諦めないんだろうな…。



「…だそうだ。仕方ない、授業が終わるまでここで寝てなさい。杉原は一緒に帰れるのか?」



菜月が俺を必要ならば、今直ぐにでも帰りたいけれど、少し寝た方が楽になるよな?



「大丈夫です。また放課後に来ます」



唖然としている友達を連れて、教室へと戻った。



「菜月ちゃん、癖あるけど可愛いよな。お前の幼なじみなんて勿体ない!!」



「癖があるは余計だ!!」



「さっきもマジになっちゃって、お前、本当は菜月ちゃんの事、好きなんだろ?…図星だな」



友達は真っ赤になった俺の顔を見て、“図星”と言った。



友達にからかわれたから顔が真っ赤になったのではなく、さっきの矢野センに対する行動で菜月に気持ちがバレたかと思い、恥ずかしかった。



願いは叶わなくても、今日ならば伝えられるかな…?