「…全然効かないな、そんなんじゃ…」



振り下ろした拳は、矢野センの掌に収まった。



「菜月に何しようとしたんだよっ!!」



「ふっ…いいねぇ、青春ごっこ」



鼻で笑って、俺を馬鹿にする。



こんな奴のどこがいいの、菜月?




「別に何もしないよ?ただ、抵抗するから…」



「菜月が抵抗するような事をしたんだろーがっ!!」



「…さあな?」



クスクスと笑っている矢野センは、今一番許せなくて、理解に困る奴だった。



友達は俺の行動に驚いて、一歩下がっていた。



「啓太、あのねっ…」



菜月がベッドから起き上がって言った。



「私、熱を出して少し寝てから早退しろって言われたの…。でも、早退したくなくて…」



はぁ?



「寝ろって言ってんのに寝ないし、さっき保健室に来たのも体がだるくて来たんだよな?」



「……うん、そしたら、啓太と矢野センが…」



やっぱり、み、見られてた!!