ヒーローって、なんて便利な言葉なんでしょうね。

お姉ちゃんの言う通りにしていれば、ハヅキくんはヒーローになれるんだよ。
今はヒーローの特訓中なの。

その言葉だけでハヅキくんは簡単に操られてくれました。

右、左、真っ直ぐ進んで二個目の角を左。
指示を出しながらハヅキくんをあの公園に誘導しました。

「いつもの公園と違う。」

ハヅキくんは不安そうな目をしました。
先生のおうちの近くにはもっと綺麗で大きい公園があって、あのちょっと古臭い公園で遊んでいる子供はほとんどいません。

たまに老人とか、昼前なのにサラリーマンがベンチに座ったままジッとしている姿を見かけました。

その日もやっぱり人は居なくて、私にとっては好都合でした。