「私。」

「うんっ。」

リズちゃんがチェーンを外してくれて、私は部屋の中に入りました。

キャリーケースを玄関に広げて、でもその日はすぐにはリズちゃんはその中には入れないで、リズちゃんの部屋に行きました。

「お姉ちゃん?」

「リズちゃん、ちょっとお話しようか。」

「お話?」

「うん。」

リズちゃん専用の二段ベッドの下の段に座りました。
もしかしたら来年辺りには、この二段ベットに寝てくれるキョウダイが増えてるかもなって思いました。

「リズちゃん、昨日ファミレスでパフェ食べたでしょ。」

「うん…、えっ!?なんで知ってるの!?」

「魔法使いだから。なんでも知ってるのよ。」

リズちゃんはぽかんとした目で私を見ていました。

「嘘。ごめん。お姉ちゃんも昨日、お友達と居たんだよ。」

「そうなの!?」

「うん。一緒に居たのはお母さん?」

「うん!」

「男の人は、お父さん?」

「ううん。でももうすぐリズのお父さんになるって言ってた!」

あのおじさんは今はまだお母さんの彼氏ってことみたいです。
そのうち結婚して一緒に住むそうです。
その為に昨日、リズちゃんとご対面したんですって。

とっても優しくて、お母さんも幸せそうで、パフェ食べさせてくれるからリズも好き、なんだそうです。

「そう。良かったね。はーくんは偽物の弟だけど、そのうちリズちゃんには本当の弟か妹ができるかもね。」

「リズ、はーくんのことも大好きだよ!」

「うん。でもね、リズちゃん。お姉ちゃんの部屋に来るのはもう…」

これが最後。
今日ははーくんとお別れをしてあげてって言うつもりでした。

これ以上リズちゃんを連れ出すのはリスクが高い。
私の本当の目的からズレちゃってるし。

リズちゃんは新しい家族と幸せになってね。

そう言おうと思ってたのに。

「お母さんと、新しいお父さんもお姉ちゃんに会いたいって。」