翌日の月曜日。
私は学校を休みました。

焦燥感とかダルさとかそんなんじゃなくて、この日はどうしてもリズちゃんと話をしたかったからです。
すごく、そうしなきゃいけない気がして。

虫の知らせって本当にあるんですかね?

いつも通り連れ出す為に私のイメージとは違いそうな変装と、この日は全体が黒のシンプルなキャリーケースを持って出掛けました。

夕方の七時。
アパートに着いて、リズちゃんちのインターホンを押しました。
やっぱりちょっと固くて、相変わらず音は鳴りませんでした。

ドアポストの口を指で押して、カタ、カタ、カタ、って五回鳴らしました。
私が来た時の合図です。

リズちゃんは秘密のやり取りみたいって、この呼び出し方がお気に入りでした。

普通のおうちだったら聞こえないことが多いと思います。
でもリズちゃんは一人の時、テレビもつけてないし音楽も聴いてません。

リズちゃんがこの音に気付かないことは一回もありませんでした。

その日もすぐに室内からパタパタと足音が玄関に近付いてきて、チェーンを掛けたまま、ドアが開きました。