隣の女の人はお母さんだろうなってすぐに分かりました。イメージ通りの派手さでしたから。

リズちゃんはお母さんと二人暮らしのはずで、
前に座ってる男の人はリズちゃんの本当のお父さんか、それともお母さんのお客さんなのか。

席が離れていたので話してることまでは聞こえませんでした。

私は絶対にリズちゃんに気付かれたくなかったので、体調悪くなってきたって嘘をついて、自分の分のお金を置いてファミレスを出ました。

大丈夫?とか気を付けてねとかみんな口々に言ってくれたけど、帰るのを止める人は誰も居ませんでした。
元々会話にもそんなに加わってなかったし。

リズちゃん達三人の姿がずっと脳裏に焼き付いてました。

リズちゃんはお母さんの仕事の日がいつなのか把握してるのかなって。
だってもし、今日いきなりご飯を食べに行こうってことになってたら、そうなることを分からないまま私がリズちゃんを連れ出していたら。

さすがにゾッとしましたね。
やっぱり他人を頻繁に連れ込むのはリスクが高すぎる。
本来、この物語には必要のないキャラだったんだしって思いました。

嬉しそうにパフェを食べるリズちゃんの顔。

あのおじさんは、リズちゃんの洋服の下には痣があることを、きっと知らない。

ニコニコと笑顔でパフェを与えた人がその痣を作ってることも。

いや、もしかしたらリズちゃんの背中の痣が全部消えかけの黄色だったのは、あのおじさんとお母さんが付き合い始めて、メンタルが落ち着いたからかも。

そんなことを一晩中考えてましたけど、必要の無いことでしたね。
そんなこと考えたって、リズちゃんのおうちの事情がどうであったって、もう関係の無いことだったのに。