「どうしたの!?大丈夫!?」
奥さんがキッチンから慌ててやって来ました。
「ごめんなさい。手が滑っちゃって。」
「あ…あぁ…、いいのよ。気をつけてね。」
いいのよ、って言いながら「大丈夫?」じゃなくて「気をつけてね」なんて。
本当は怒ってるクセにいいのよなんて言っちゃって。
「いい写真ですね。」
家族三人が写真に閉じ込められて笑ってました。
魂が焼き付いたみたいに。
「ありがとう。去年のクリスマスにね。スマホのセルフタイマーで撮ったのよ。画角がよく分かんないから…ほら、私達がちょっと右にズレちゃってるでしょ。」
奥さんはその時を思い出すようにクスクスと笑いました。
その思い出は先生とハヅキくん、どっちのほうが強かったんでしょうか。
写真には食べかけのケーキが見切れてました。
ハヅキくんが嬉しがったケーキ。
「クリスマス。雪、降りましたね。」
「そうだったかしら?あなたの所も?」
「…同じ街ですから。」
「そうなのね。」
あんなに小さなハヅキくんが憶えてることを、この人はなんにも憶えていない。
雪が振ったことも、ハヅキくんがずっとケーキを楽しみにしていたことも、今年の新しいカレンダーをママが見せてくれたことも。
奥さんがキッチンから慌ててやって来ました。
「ごめんなさい。手が滑っちゃって。」
「あ…あぁ…、いいのよ。気をつけてね。」
いいのよ、って言いながら「大丈夫?」じゃなくて「気をつけてね」なんて。
本当は怒ってるクセにいいのよなんて言っちゃって。
「いい写真ですね。」
家族三人が写真に閉じ込められて笑ってました。
魂が焼き付いたみたいに。
「ありがとう。去年のクリスマスにね。スマホのセルフタイマーで撮ったのよ。画角がよく分かんないから…ほら、私達がちょっと右にズレちゃってるでしょ。」
奥さんはその時を思い出すようにクスクスと笑いました。
その思い出は先生とハヅキくん、どっちのほうが強かったんでしょうか。
写真には食べかけのケーキが見切れてました。
ハヅキくんが嬉しがったケーキ。
「クリスマス。雪、降りましたね。」
「そうだったかしら?あなたの所も?」
「…同じ街ですから。」
「そうなのね。」
あんなに小さなハヅキくんが憶えてることを、この人はなんにも憶えていない。
雪が振ったことも、ハヅキくんがずっとケーキを楽しみにしていたことも、今年の新しいカレンダーをママが見せてくれたことも。