なんでここに…
一瞬硬直したが、別に怯える対象ではないと自分に言い聞かせた。
「久しぶりだな、バイオリン見るの。少し弾いてみるか。何年ぶりだろ」
久しぶりにバイオリンを見て懐かしい感情がよびおこされた。
バイオリンにはホコリはかぶっておらずきれいな状態なのでそのまま構えてみる。
弓を弦において弾く。
きっと何年も弾かれていないんだろう、あまりいい音は出なかった。
だけど久しぶりにバイオリンを弾く楽しみを実感した。
バイオリンを弾きながら思い出した過去。
目の前に座る沢山の人達。
スポットライトが当てられる私。
拍手が起こって始めなければならないのに固まってしまって…
「何思い出してるんだ私。もう昼休み終わるし戻らないと」
出口を向いてあるき出そうとするとそこに人がいるのに気づいた。