「やっぱり好きな人と一緒になりたい~……」
土曜日の午後、私は姉の部屋で愚痴をこぼしていた。クッションを抱きしめてカーペットの上にゴロンと寝転がると、四歳の姪っ子のなっちゃんが私の頭をよしよしと撫でてくる。めちゃくちゃ可愛い。
姉夫婦は私の実家で暮らしている。出産して里帰り中だった時に母が亡くなり、こちらが大変だろうと旦那様の一誠さんがわが家に来てくれて、今もそのまま暮らしている状態だ。
母を亡くした当時、わが家は喪失感や悲壮感で一杯だったが、一誠さんが励ましてくれたおかげで皆立ち直れた。『実家が居心地よくなっちゃって、もう出られない』なんて言っている姉に付き合っているところも、彼は本当に人がいい。
そんな最高の旦那様をゲットした、私より華やかさのある顔立ちの姉の翠は、シュークリームが入った箱を開けながらやや気の毒そうに眉尻を下げて笑う。
「そりゃ恋愛結婚したいよね。でも今まで結婚には良くも悪くも興味なさそうだったじゃない。そんなに嫌がるなんて、好きな人できたの?」
さすが、姉は察しがいい。昔から彼女と恋愛話をよくする私は、今も話をしたくてむくっと起き上がる。