やばい、調子に乗りすぎたかも。彼が自信を持って作っているであろう最新鋭の商品を見せてくれているのに、真逆のアナログなものばかり贔屓したら失礼だよね。
わりとカラッとした性格の私は、思ったことをはっきり口にして相手を引かせてしまうときもあって、それは短所だと自覚している。なのに、どうしてまたやらかしてしまうのか。
「すっ、すみません! 決してこの商品を否定したわけじゃなくて……!」
「いや、俺も素敵だと思ったんだ。君の考えが」
意外な反応が返ってきて、私はぽかんとした。
「多少の不便さも古いもののよさだよな。今はなんでも便利になりすぎている。君のような物の見方は好きだ」
青山さんはコーヒーカップを手に取り、ふっと笑いをこぼした。それに加えて〝好き〟という単語に、さらにドキッとさせられる。
今しがたのお節介な発言を意外にもプラスに捉えられて驚いていると、彼は立ち尽くす私をまっすぐ見つめる。
……彼の瞳って、こんなに穏やかで綺麗だったっけ。
「君は大事なことを気づかせてくれるし、話しているとコーヒーを飲むよりずっと癒やされる。だからここへ来たくなるんだな」