「悠、一緒に帰ろっ」

もはやこれもあたしの口癖で、もう何度言ったかわからない。

気付けばクラスの子たちにもそれがあたりまえと思われるようになったいた。

「宝条さん、相沢くん、さようなら」

「いっちゃん、さようなら~!」

ついでに担任のいっちゃんにも認められつつあった。

「最近相沢くんちゃんと来てくれるようになって僕は嬉しいよ」

ぷくぷくのほっぺをがよりぷくっとなりながらいっちゃんが目を細めて笑ってた。

悠は何も答えてなかったけど、それを聞いてあたしも嬉しかったんだ。

このまま少しづつ変わっていけば、どんどんいい方向に進んでいかもしれない。

そしたらナナも本郷先生も、思い直してくれるんじゃないかって期待しか持ってなかった。

「悠、今日は空いてる?」

「あー、今日は…」

これッだけは不満だったけど。

「真菜さん?」

「うん」

でもそれはしょうがないし。

「真菜が炊飯ジャーが欲しいから付き合えって」

家族の用事なら仕方ない。
あたしが不満に思うようなことじゃない。

「炊飯ジャー?」

「引っ越してから何もなくて不便なんだと」

「真菜さん、引っ越ししたんだ」

「男と別れから」

…でもやっぱり不満なんだけど!

今サラッと言ったけど、真菜さん彼氏と一緒に住んでたけど別れて引っ越したから家具がないって話だよね!?

「………。」

それでも、何も言えることはないけど。

悠はなんて思ってるの?

なんて、聞けるわけないし。

「何?」

「ううん、じゃあ暇な時はあたしと遊んでよね!」

悠にばいばいをして1人で帰った。

なかなか一緒に遊べないなぁ…

悠が暇な時はあたしに塾があったりして、タイミングは合わないんだよね。一緒に帰れるだけでも嬉しいからいいんだけど。

もう少し一緒にいたいなって、欲張りしたくなっちゃう。