山川さん達を見つめて、私は言った。
視界が揺れて。
涙がぽたっと落ちる。
「好きだって言われて、思ったんです。徹平くんが見ているのは、私じゃなくて『美鳥』なんだって。そう思ったら、悲しくてつらくて、私……っ」
涙は止まらず、ぽたぽたと落ち続ける。
「ただ、そばにいられたら、隣にいられたらいいって、そう思っていたんです。嘘でも、架空でも、徹平くんの近くにいたいって思っていたはずなのに……」
湿った声が、教室の中で響いた気がした。
山川さんは私の肩にそっと触れて、
「泣くなー、津山さん」
と言ったけれど、その声も涙声だった。
「私、『美鳥』が好きな徹平くんに、告白なんて出来ません。『美鳥』じゃない私を、きっと受け止めてくれない」
「わっかんないじゃん!津山さんも『美鳥』も、津山さんなんだから!」
島田さんが強引に自分の目をこする。
「こんなに好きなのに、諦めちゃダメだよ」
福本さんもポケットからミニハンドタオルを取り出した。