(この人、どこかで見たことが……?)
ぱっちりした目。
ぷっくりした唇。
桃色の愛らしい頬。
キレイな長い髪。
(あっ)
思い出した。
まだメイクに慣れていない頃。
コンビニの駐車場のすみっこで。
徹平くんの隣にいた、あの女の子。
「可愛いじゃーん、徹平には勿体なーい」
伊藤さんはそう言って、徹平くんに軽く触れた。
肩にポンッと手を置く程度の。
軽いボディータッチ。
でもその行動と、私を見る時のかすかな鋭い目つきで。
(あぁ、この人も徹平くんのことが好きなんだ)
すんなり分かってしまって。
さっきまでの晴天そのものの心に、黒い雲が広がっていく。
徹平くんは伊藤さんから、さり気なく離れる。
それから、
「じゃ、学校でな」
と、言った。
(え)
私に「行こう」と言って、徹平くんは歩き出す。
「あの、いいんですか?」