「プリンセスって特別な存在だなって思うんです。キラキラして華やかで、気品があって優しくて」



(あ、後半は私の憧れの、アニメ映画のプリンセスの話になっちゃった)



「そっかぁ」
と、徹平くんは小魚達を見つめていた。






イルカショーを見て。

ふたりとも「可愛かったね」を連発しながら。

あっという間に時間は過ぎて。

私達は地元の駅まで帰って来た。



「楽しかったです。ありがとうございました」

「オレも楽しかったよ。また行こうね」



嬉しい。

「また行こうね」なんて言ってもらえて。

胸が高鳴る。



その時。

「あれ?徹平?」という声が聞こえて。

振り向くと女の子がひとり、こちらに近づいて来た。



「あ、伊藤(いとう)じゃん」



徹平くんの知り合いのようで、その女の子、伊藤さんは「ヨッ」と言った。

そして私に気づき、
「ん?デートぉ?」
と、冷やかすように徹平くんを小突く。