「落語!?」
徹平くんの目は大きく見開く。
それから少し笑ってから、
「やっぱりいいね、『美鳥』ちゃんって」
と、言った。
C市にある水族館に着いて。
照明を暗くしてある館内を進む。
ゆったり、のんびりと泳ぐ魚達。
「『美鳥』ちゃん、見て」
徹平くんに言われて、視線を向けると。
「わぁ、キレイ!」
キラキラ輝く小魚達の水槽に、私はうっとりする。
虹色に輝く背中。
尾ひれがヒラヒラしている。
その姿はまるで。
「プリンセスみたい……」
私の呟きに徹平くんは、
「本当だ。ドレスを着ているみたいだね」
と、目を細める。
「いいなぁ、憧れます」
「ん?魚のドレスに?」
「ドレスというか、プリンセスなところに、です」
「へぇ、そういうの、好きなの?」
私はうなずいて言う。