「どこのどんな人?」と質問してくるひばりに、
「帰ってきたら、また話すから!」
と言って、逃げるように家を出た。
待ち合わせ場所は地元の駅前のコンビニ。
まだ徹平くんは来ていないみたい。
スマートフォンで時刻を確認すると。
約束の時間まで、まだ10分程ある。
私はイヤホンを耳にさして。
コンビニの駐車場のすみっこで、徹平くんを待つことにした。
しばらくすると。
徹平くんが通りを歩いて来るのが見えた。
「ごめん、お待たせ」
私はイヤホンをはずして、
「待っていません、全然」
と、それを片付けようとしたら、
「何聴いてんの?」
徹平くんがイヤホンを持つ私の手を取って、自分の耳に近づけた。
「え、わっ!」
驚きと胸きゅんで、心臓が跳ねる。
「……?なんか、おじさんがひとり、話している……?」
「あ、あの、落語です」