簡単なことではない。

そんなことは重々承知している。



「え?自分を変える?」



山川さんが私に丸くなった目を向ける。



「お、おしゃれとかメイクとか、してみたいんです」



自分で言っていて恥ずかしくなってくる。

思わずうつむいてしまった。



「私、可愛くなれるとは思ってないです。でも自分に自信をつけるには、外見も変えられたらいいなぁって」



どんどん声が小さくなっていく。

昼休みの教室のざわめきが、やけに遠くに聞こえた。



「いいじゃん、やってみなよ」



山川さんが言って、私は顔を上げる。



「ほ、本当に?」

「うん。あたしで良かったら協力するからさ」

「心強いです……!」



山川さんはニイッと笑って、
「自信をつけて、気持ちを伝えられるといいね」
と、言ってくれた。






放課後。

私は高校のそばの大型書店へ向かった。