「……徹平くんの、隣にいて、変ですか?」
思わず言ってしまって。
ハッとした時には、もう遅かった。
「何言ってんの、すずめちゃん」
徹平くんが私の肩にそっと触れる。
背の高い男子も、
「そうだよ、あんた。そういうこと言うのが変だよ?」
と、心配そうにしている。
「あ、すみません。つい……」
ダメだ。
『美鳥』じゃないから。
自信も何も持てない。
(楽しくデートしたいのに)
「何?お前ら、付き合いたて?ホヤホヤなわけ?新鮮な、とれたてカップルなわけ?」
背の高い男子が冗談を言ってくれたおかげで、徹平くんも私も少し笑って、それまでの変な空気が和やかなものに変わった。
「じゃ、オレ行くわ。約束あるし」
歩き始めた背の高い男子に、
「あの、ありがとうございました」
と、声をかけた。
「あの日、鍵を探してくれたことも、今日も。会えて良かったです」
背の高い男子は振り返って、
「ご丁寧にどうも!」
と言って、
「徹平、また連絡する!」
と、再び歩き出した。