週末。



「えっ、デートに行くの?その恰好で?」



洗面所の前ですれ違ったひばりが、目を丸くしている。



「この恰好、やっぱり無い?」

「いや、私は好きだけど……。今までの、ゆるふわ〜な、なんていうか、いかにも女子!な恰好じゃないから」



私は自分の洋服を見下ろす。

黒地に真っ白のレース模様が重ねてあるTシャツを、ちょっとだけオーバーサイズのデニムパンツにインして、ベルトをしている。



「私じゃないみたい?」

「えっ、いや、むしろお姉ちゃんっぽいというか、少しだけ張り切ったお姉ちゃんって感じ」



ひばりのその言葉に、私は大きくうなずく。



「それなら、良かった。私は、私らしいのが大事だから」



淡い紫色のリュックを背負って。

デニム色のキャップを被った。



「行ってきます!」



外は信じられないくらいの暑さ。

スニーカーの底から、元気な真夏を感じる。