「どうしてわかるんですか?釣り合わないとか、関係ないとか。ダサい見た目だから?」
伊藤さんは黙った。
私は続ける。
「私が徹平くんと釣り合わないと思うのも、関係ないと思うのも、あなたじゃない。徹平くんの、本人の気持ちだから。あなたに決めつけてほしくない」
「何なの、この子。見た目だけじゃなくて、性格も最悪なんだけど」
伊藤さんがそう言って、徹平くんのそばに行った。
徹平くんは、
「伊藤もひどいこと言ってるよ」
と、伊藤さんから離れた。
それから、
「ちゃんと話してくれるの?」
と、私を見る徹平くん。
私は力強くうなずいた。
「もう、逃げない?」
「逃げません」
しばらく私を見つめたあと、徹平くんは「わかった」と、小さな声で言った。
「わかったよ。でもここじゃ目立つし、場所を変えよう」
「はい」
背後で、伊藤さんが「信じられない!」と大きな声を出したけれど、徹平くんは振り返らずに歩き出した。