いや、うん、って、え?
つまり、どういうこと……
ゆっくりと私との距離を縮めて、ほんの少し顔を傾けて。
視線の先は、私の唇。
「だめ?」
その声で、朔が何をしようとしているのかがようやくわかった。
じわじわ、体が熱くなる。たぶんいま、顔も耳も首も、赤いと思う。
また私を見つめる朔の瞳に、吸い込まれそうだった。
「……だめ、じゃな──っん、ぅ」
触れた唇は熱くて、頭、おかしくなりそう。
熱くて、気持ち良くて、こんな感覚はじめてで。
気持ちいいのに、なんだか悪いことをしているようで、怖くなる。
「んぅ、っあ、な、なに、」
「だいじょーぶだから、口あけて」
「は、む、むり、わかんない……」
「はは、するんならもっとましな言いわけして」
朔のキスは、甘くて優しくて、そして暴力的で、心臓が壊れてしまいそうだった。