「朔の過去は私にとって関係ない。優等生でも、不良でも、全部ひっくるめて、それが朔だよ。
そのままでいい。私は、そんな朔が好きだよ。」
朔に抱きしめられたのは、自分の気持ちをもう一度言葉にしたのとほぼ同時だった。
強い力と、朔の香りに、少し泣きそうになる。
「……俺も、澪が好きだ。」
思わず溢れ出たような、張り詰めていた糸がはらりと緩んだような。まるで陽の光を眩しいと感じたように、朔は目を細めて笑った。
朔はその後、私を部屋の中に入れてくれた。
ソファに座って、ぎゅっと手を繋いだまま、ぽつりぽつりと昔のことを教えてくれた。
「そっか」って、「そうだったんだ」って。
それしか言えなかった。
でもそれでいいと思った。
話終わった後、朔は私のことを見た。
不安そうな顔。